シャドーイングと音読 - リスニング能力を伸ばす-

 

リスニング。

 

多くの日本人にとって、リスニングは非常に苦しむものですよね。

どのようにすればリスニング能力は向上するでしょうか。

 

シャドーイングと音読

 

現在の英語教育の場では、どちらも非常にポピュラーなものになったと思います。

 

僕が高校生の時は、シャドーイングなんて言葉は全く知りませんでしたし、教科書の英文の音読はしていましたが、今のような「音読が大事」ということを教わった上で音読していたわけではなく、ただ、個人的に「英語を話すのが好きだから」音読していただけでした。

 

今から振り返ると信じられないかもしれませんが、20年近く前の英語の授業(公立)では、ただひたすら英文解釈、英文和訳でした。学校の授業で英語のCD音声を聞くことはほぼ無く、受験でも、一部の英文科を除いて、リスニングの試験はありませんでした。

 

そういうわけで、僕は学校英語教育の被害者の一人です(笑)。

 

さて、シャドーイングと音読。これらの違いはざっくりいうと次のようになると思います。

 

シャドーイング = 音を聞いて音声化

音読 = 文字を見て音声化

 

いずれも英語の知識を自動化することが目的ですが、「自動化」とはなんでしょう。ざっくりいうと、

 

語彙や文法の選択、その他の処理が、

苦労することなく、実行できるようになること。

 

といった感じにまとめられると思います。

 

私が言うまでもなく、シャドーイングは非常に良い練習方法です。シャドーイングを英語学習のメインに添えることで、リスニング力の大きな向上を期待できると思います。英文スクリプトを徹底的に精読した後は、音声のある場合は、納得のいくまでシャドーイングを繰り返す。これに尽きます。

 

シャドーイングを始めて、それに慣れてくると様々なメリットが感じることが出来ます。その中でも一番大きなものは音声の自動化が促されることです。シャドーイングを行うことで、英語の音を英語のまま吸収できるようになります。そうなると、音を発することが容易になり、頭の中での英語を処理する際の負担が減ります。その結果、音声を発する際にプラスアルファのことを行う余裕が生まれます。音声を発すると同時に、意味を把握したり、文構造を頭に刷り込むことが出来るようになりますそして、英文中の単語や熟語を、覚えようと意識せずとも、自然と頭に刷り込むことも出来ます。

 

では、英語のテキストを学習する際、どのような学習の仕方がよいでしょうか。次のやり方が一つのオプションになると思います。

 

1) 英文を数回聞き、意味の把握に努める。

 

2) 試しに1回シャドーイングをしてみる。

 → 分からない個所が把握できる。

 テキストはまだ見ないようにして、

 聞き取れない個所は何回も聞いてみる。。

 

3) 英文を見ながらリスニングして、

 文全体の意味を正確に把握する。

  

4) 英語音声と同時にテキストを見ながら、

 数回発声してみる。

 この段階で単語の発音やイントネーションを

 正確に理解する。

 

5) 納得のいくまでシャドーイングをする。

 

シャドーイングを行う意味をきちんと踏まえながら行うことが大切です。なぜシャドーイングをするのかです。次の2つのいずれかを必ず意識しましょう。

 

1) とにかく英文を忠実に再現出来るよう努力する

→ 英文音声をきちんとコピーできているかを確認。

 

2) 意味を意識しながら英文を追いかける

→ 「文章の意味」をイメージでとらえるよう

  に努力する。

→ 日本語を完全に排除するのは難しいですが、

  出来るだけ日本語に置き換えないようする。

→ これが完全に出来たと思える英文の表現は、

  実際の会話で使える表現として、

  脳内にストックされます。

 

ただ何となく音声を発しても、得られる効果は薄いものになってしまいます。

 

ャドーイングを繰り返した後、再度、英語音声を聞いて、頭の中で日本語に訳すことなく、英文の意味をイメージできるようになれば完成と言えるでしょう。

 

では、音読はどうでしょうか。

 

音読は、自分が会話に使いたい文章や表現を、自分のペースで繰り返し発話することで、自分の使える英語として頭にストックしていく感じだと思います。ですので、音読は会話のための練習としての要素が強いと思います。

 

本を読んでいて気に入った表現や、自分で使ってみたい表現を、自分の口で発話し、それを何度も繰り返すことで、その表現を頭に刷り込んでいく感じでしょうか。

 

シャドーイングに使った文章の中で、気に入った表現などを音読して頭に落とし込んでいくのは良いトレーニングになると思います。

 

リスニング力の向上を目的とする場合、シャドーイングをすれば、別途、音読の練習の時間を設ける必要はないと思います ただ、リスニング素材の英語音声スピードが非常に速い場合、シャドーイングが(私の場合)出来ないことが多々あります。そのような場合は、自分なりに出来るだけ早いスピードで何度か音読を行った後に、再度、英語音声を聞くと、その音声の処理速度が上がります。このようなケースでは、シャドーイングより、音読がベターです。

 

なお、シャドーイングを本当に何度も行い、英文が自然と頭に刷り込まれた場合は、シャドーイングもスピーキング力の向上に役立つことは間違いありません。スピーキング能力とは総合的な学習の結果ですので、シャドーイングも当然スピーキング力の向上に役に立ちます。ただ、スピーキング能力の向上という観点からいえば、シャドーイングだけをひたすら行ってもダメで意識的なアウトプットの練習が必須となることには注意が必要と思います。

 

 

Thank you.

Ohmukun

 

*この記事は以下の書籍を参考にしています。

1) 「シャドーイング・音読と英語習得の科学」

門田修平 著

2) 「英語学習論 スピーキングと総合力」

青谷正妥 著

3) 「外国語学習の科学 -第二言語習得とは何か-」

白井 恭弘 著