瞬間英作文でどのレベルまで到達できるか?

 

瞬間英作文、流行ってますね。

 

ただ、個人的にはその効果を絶対視することには疑問を持っています。瞬間英作文は英文の型を身に着けるためには良い練習方法ですが、「瞬間英作文で英語がペラペラに」というのには少し違和感を持っています。

 

瞬間英作文は初級から中級レベルでは間違いなく有用だと思います。そのレベルでは、日本語の介在なしに英語を発するのは難しいので、英語を発話するキューとして、日本語の文をみて、それを英語に訳して発話する練習は役に立つと思います。ただ、中級者以上、例えば英検準1級以上の人たちにとっても、瞬間英作文は適切な練習方法なのでしょうか。私は他の練習方法のほうが良いのではないかと思っています。

 

なぜか。それは、中級から上級を目指す場合、

 

日本語の介在を出来るだけ無くす必要がある

 

と考えるからです。

 

瞬間英作文では、いつまでたっても、日本語を翻訳して英語を話す、という習慣が消えません。翻訳癖は、どうしても発話スピードを遅くしてしまいますし、日本語を直訳したような英文が多くなってしまいます。直訳調の英語を治すには、良質な英文を大量にインプットするしかないと思っていますが、瞬間英作文に軸を置きすぎると、いつまでも直訳調から抜け出せない気がしています。ある程度英語が分かってきた段階では、意識的に日本語の介在を減らす発話練習に切り替える必要があると思います。

 

また、翻訳しながらの英会話は非常に疲れます。英語が今ほど得意でなかったときは、英語で長時間話すことは大変でした。時間が経つにつれ、徐々に英語がうまく出てこなくなることもよくありました。理由は「頭の中で高速で英訳して話していたため、時間の経過とともに頭が疲れた」からです。

 

以下、私の英検1級2次試験対策の時の経験を基に説明したいと思います。

 

私は残念ながら留学経験がありません。そんな私の目標は長いこと英検1級の取得でした。そして海外経験の少ない学習者によくあるパターンだと思いますが、2次試験に非常に苦しみました。そして、どうしたら話せるようになるのかをネットで調べまくりました。

 

 

色々なウェブサイトを調べた結果、

 

「瞬間英作文が良い」

 

と非常に多くのサイトでアピールされていて、しばらく瞬間英作文に集中しました。ですが、どうも思ったような効果を感じられませんでした。結局、2次試験は多くのスピーチを暗唱することで突破することが出来ましたが、その時、瞬間英作文の限界を考えるようになりました。

 

英検2次のときは、20本くらいのスピーチを作成し、何度も音読して、そのスピーチに対する試験官からの質問を推測し「1人Q&A」をしていました。

 

この時、暗唱の持つ効果を強く実感しました。

 

暗唱というと、

 

「暗記はだめ」

「応用力が付かない」

 

みたいな意見がネット上に数多くありました。ですが、暗唱するために何度も音読を繰り返すことで、日本語の介在を経ることなく、英文を話す良いクセが付いたと感じています。また、暗唱したスピーチが、自分で内容で作成した、自分の意見を述べているものであったことも非常に効果的であったと思います。

 

英検1級突破後、

 

青谷正妥著「英語学習論 スピーキングと総合力」

 

英語学習論: ―スピーキングと総合力―

英語学習論: ―スピーキングと総合力―

 

 

という本を読み、TOEFLの問題を利用した、15/45 Exerciseという練習を少しアレンジしたものを中心に練習を行ったところ、英語の発話スピードと流暢性の向上を実感しました。

 

15/45 Exerciseとは、英語で書かれたあるトピックに対して、話す内容を15秒間考えて、45秒で解答するというスピーキング練習です。例えば、

 

What is your favorite thing to do in your free time and why?

 

のような質問文(英文)に対し、15秒間で解答を考え、45秒間で英語で答える、というものです。この練習が効果的である理由として、

 

・日本語をほぼ介していない(日本語を目にしない)

・アウトプット時に、自分の言いたいことを何とか伝えようとする練習になる

・現在、自分が使用可能な文法・語彙で何とか伝えようとする練習になる

・まとまった英文をアウトプットする練習になる

 

などが挙げられます。

 

特に「自分が言いたいことを伝える練習になる」というのが大きいと考えています。英検2次の練習でも強く感じましたが、自分の意見、自分が伝えたい内容をアウトプットする練習をしなければ会話力は伸びない、と思っています。この本を読み終えた後、瞬間英作文の限界のようなものを何となく悟った気がしたのを覚えています。

*英語を発話する前に頭の中では日本語を使用していると思いますが、日本語の介在は練習を繰り返す過程で徐々に減らしていけるものです。ただ、練習の過程でそれを意識する必要があります。

 

以上のことから、ある程度のレベル(英検準1級程度)までは瞬間英作文を利用するのは良いと思います。

 

ですが、上級を目指すためには瞬間英作文を卒業し、

 

・スピーチ練習または暗唱

 (自分の言いたい内容のもの)

・15/45 Exercise

 

を中心に練習をし、時間が空けば独り言(実際に発話しない頭の中だけでの独り言を含む)、がベストな組み合わせだと今は考えています(実際にオンライン英会話等で話す練習は当然必要ですよ)。

 

「いや、瞬間英作文のやり方が悪いだけですよ」、という反論もあるかもしれませんね。また、初級レベルから「瞬間英作文」的なメソッドを用いずに、上級レベルに達する方法もあると思います。あと、私自身、相当量の瞬間英作文の練習をしてきました。その恩恵は十分に受けていますし、瞬間英作文そのものを否定しているわけでは決してありません。

 *通訳を目指すような場合はまた別の話となります。あくまでも英語使用者として上級を目指す上での話となります。

 

 

最後に、個人的な見解に基づくものですので、その点につきご理解をお願いします。

 

それでは。

 

Thank you.

 

Ohmukun